さちゅりこん2――渡邊史郎と縦塗横抹

世界が矛盾的自己同一的形成として、現在において過去と未来とが一となるという時、我々は反省的である。(西田幾多郎)

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「わびしげに見ゆるもの」今昔物語

わびしげに見ゆるもの 六、七月の午、未の時ばかりに、穢げなる車に、えせ牛かけてゆるがし行く者。雨降らぬ日、張筵したる車。いと寒きをり、暑きほどなどに、下衆女のなりあしきが、子負ひたる。老ひたる乞食。小さき板屋の黒うきたなげなるが、雨に濡れた…

わざと尋ね呼びありくは

かやうにて、寺にも籠り、すべて例ならぬ所に、ただ使ふ人の限りしてあるこそ、甲斐なう覚ゆれ。なほ同じほどにて、一つ心に、をかしき事もにくきこともさまざまに言ひ合はせつべき人、かならず一人二人、あまたも誘はまほし。そのある人の中にも、口をしか…

おのづからさるまじくあだなるさまにも

先日山本淳子氏の『枕草子のたくらみ』を読みとても面白かった。大学一年生の頃、古典の担当の先生に「女房たちは政治的な関係のど真ん中にいたはずなのに、恋愛に集中できるんでしょうか」みたいなことを聞いたことがあるが、そのとき先生は「うーん」と言…

ことにきこゆる――西と東

つねよりことにきこゆるもの、正月の車のをと、又鳥の声、あかつきのしはぶき、物のねはさらなり。 暁の咳払い、暁の音楽は言うまでもなし。なぜ、普段より特別な感じに聞こえるものが、こんなものなのか? 男女の逢瀬にかかわるものであろうと注釈には書い…

労働多し

論文をひとつ仕上げてから、寝て、小野紀明氏の「「線」に関する一考察――ハイデガーのユンガー批判・再説」を読む。あとは大学の仕事。

生ける甲斐なさよ

見ぐるしきもの 衣の背縫ひ、かた寄せて着たる。また、のけ頸したる。例ならぬ人の前に子負ひて出で来たる。法師陰陽師の、紙冠して、祓へしたる。 別にいいじゃねえかっ 色黒うにくげなる女の鬘したると、髭がちに、かじけ、やせやせなる男と、夏、昼寝した…

垣間見と覗き

御膳のをりになりて、御髮上まゐりて、蔵人ども、御まかなひの髮上げて、まゐらする程は、隔てたりつる御屏風も押しあけつれば、垣間見の人、隠れ蓑取られたる心地して、あかずわびしければ、御簾と几帳との中にて、柱のとよりぞ見奉る。衣の裾、裳などは、…

植物のために

The Thing From Another World (1951) Official Trailer #1 - Howard Hawks Horror Movie 51年の「遊星よりの物体X」はいまみると、その物体Xは全然物体Xではなく、フラン★ンシュタインである。しかもなんと植物であるということにされている。もげた腕を…

伏石神社を暖冬に訪ねる(香川の神社2-4)

今年の冬はいつ寒くなるのであろうか……。わたくしの木曽的肉体では10月ぐらいに感じるんだが…… たんたんたぬきの★ ミロ風に撮ってみた……

ホームドラマ

学生に、「ホームドラマ」の原案を書いてきましょう、という宿題を出したら、揃いも揃って、実家を出る手段の話であったのは驚いた。考えてみると、お年頃から考えてもそうなのであろうが、――家庭内での弁証法的解決はほとんど望まれておらず、居ても平穏離…

杉浦康益「段々の風」

瀬戸内国際芸術祭、女木島。

糟粕と千の歌

「何か、この歌、すべて詠みはべらじ、となむ思ひはべるを、物のをりなど、人の読みはべらむにも、『詠め』など仰せらるれば、えさぶらふまじき心地なむしはべる。いといかがは、文字の数知らず、春は冬の歌、秋は梅の花の歌などを詠むやうははべらむ。され…

XXXXXXXX遊星からの物体XXXXXXXX

『遊星からの物体X』オリジナル予告編 『遊星からの物体X』はすばらしい映画であった。原作は一九三十年代、初の映画化は五十一年だが、この映画を子どもの頃見てショックを受けたジョン・カーペンター監督の八十二年リメイク版がすごくて、仰天するシーン…

うつつの人の乗りたるとなむ、更に見えぬ。なほおりて見よ

卯の花のいみじう咲きたるを折りて、車の簾、かたはらなどにさしあまりて、おそひ、棟などに、長き枝を葺きたるやうにさしたれば、ただ卯の花の垣根を牛に懸けたるとぞ見ゆる。供なる男どもも、いみじう笑ひつつ、「ここまだし、ここまだし」と、さしあへり。…

セ2

確かにいやな業務ではあるのだが、きちんとやってしまうのが我々の性で。だからさ、「あのときはバカでした」といういいわけは大概嘘なんだと思うね……。 それにしても、わたくしは、センター試験第一回目の受験生であった。そして最後は試験監督している。西…

セ1

最後のセンター試験第1日目。終わりは一度でいいよ。ちゃんと終わらせましょう。

「様々なる衣装」を期待します

男も女も法師も、宮仕へ所などより、同じやうなる人諸共に、寺へ詣で、物へも行くに、好ましうこぼれ出で、用意よくいはばけしからず、あまり見苦しとも見つべくぞあるに、さるべき人の、馬にても車にても行きあひ、見ずなりぬる、いとくちをし。 わたくしは…

あさましきもの――ゴ★クズと小★

あさましきもの。刺櫛すりてみがくほどに、ものにつきさへて折りたる心地。 車のうちかへりたる。 さるおほのかなるものは、所せくやあらむと思ひしに、ただ夢の心地してあさましうあへなし。 人のためにはづかしうあしきことを、つつみもなくいひゐたる。 …

かたはらいたきもの

「かたらいたきもの」の段は、清少納言の一番いいところがでている。今日はある集まりで、清少納言はやっぱり感情労働の達人じゃないかと言ってしまったが、――悪口というものは、相手を不快にさせる可能性もあるがそうでないことも大いにあり、言った本人も…

書き直しと革命

ねたきもの 人のもとにこれよりやるも、人の返事も、書きてやりつる後、文字一つ二つ思ひ直したる。 だいたい文章というのは後悔するようにできているのだが不思議である。文章はみている風景と繋がっているから、ちょっとトイレや食堂に行っただけで異なる…

Hildegard's dream - Alejandro Viñao

Hildegard's dream - Alejandro Viñao I Lisa Tatin 高校生の頃、エアチェックで聴いたことがあった。若い頃はなんでもかんでも聴いておくべし。

有名人と名前

無名といふ琵琶の御琴を、上の持てわたらせたまへるに、見などして掻き鳴らしなどすと言へば、弾くにはあらで、緒などを手まさぐりにして、「これが名よ、いかにとか」と聞えさするに、「ただいとはかなく、名もなし」と、のたまはせたるは、なほいとめでた…

【ナイス】則光【ガイ】

「一夜は責めたてられて、すずろなる所々になむ、率てありき奉りし。まめやかにさいなむに、いとからし。さて、など、ともかくも御返りはなくて、すずろなる和布の端をば包みて賜へりしぞ。あやしの包み物や。人のもとにさる物包みておくるやうやはある。と…

松縄町の地神さんを訪ねる(香川の神社208)

昨日は、溝口睦子氏の『アマテラスの誕生』を少し読みました。

自讃譚の今昔

頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて、いみじう言ひおとし、「なにしに人と思ひほめけむ」など、殿上にていみじうなむのたまふと聞くにも、はづかしけれど、「まことならばこそあらめ、おのづから聞き直し給ひてむ」と、笑ひてあるに、黒戸の前など渡るに…

文学の住むところ

また、あまたの声して、詩誦じ、歌など歌ふには、叩かねどまづあけたれば、此処へとしも思はざりける人も、立ち止まりぬ。居るべきやうもなくて、立ち明すも、なほをかし。 御簾のいと青くをかしげなるに、几帳のかたびらいとあざやかに、裾のつまうち重なり…

ありがたきものの物体

同じ所に住む人の、かたみに恥ぢかはし、いささかのひまなく用意したりと思ふが、つひに見えぬこそかたけれ。 「ありがたきもの」の段は、舅に褒められる婿とか、姑にかわいがられる嫁とかいうありふれたものから入るのだが、「毛のよく抜くるしろがねの毛抜…

時間――草の花と戦争

戦争が始まりそうになると、いつも坂口安吾の「戦争と一人の女」を思い出す。 これに薄を入れぬ、いみじうあやしと、人言ふめり。秋の野のおしなべたるをかしさは、薄こそあれ。穂先の蘇枋にいと濃きが、朝霧に濡れてうちなびきたるは、さばかりの物やはある…

女根/めこん

女根/めこん (大竹伸朗) ……瀬戸内国際芸術祭の女木島で人気だった。実際見てみたら、昭和の楽しい音楽が流れてておもしろかったな……

朝帰りにおける理想と現実

暁に帰らむ人は、装束などいみじううるはしう、烏帽子の緒・元結かためずともありなむとこそ、覚ゆれ。いみじくしどけなく、かたくなしく、直衣・狩衣などゆがめたりとも、誰か見知りて笑ひそしりもせむ。 人はなほ、暁の有様こそ、をかしうもあるべけれ。わ…