2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧
すべて此の世で眞に偉大なるものは、提携によつて獲得されたものではなく、常にたゞ一人の勝者が爲し遂げたものなのだ。提携はその遣り方が遣り方だから、始めから将来の分立、またはそれ以上に、到達したものをやがては喪失する萌芽を含んである。偉大な、…
本書は全譯と銘うち、また事實上全部を譯了したのであるが、原書二五八頁より二六一頁までと、三〇三頁より三〇五頁に亙る箇所は、國情の相違から私自身としても到底紹介し得ないものであり、かつ本邦とは全然無關係、また参考にもなり得ないものであるので…
循環W―G―Wはつぎのものに分解される、運動W―G、商品を貨幣と交換すること、つまり販売、これと反対の運動G―W、貨幣を商品と交換すること、つまり購買、およびこの二つの運動の統一 W―G―W、貨幣を商品と交換するために商品を貨幣と交換すること、つまり購買の…
Henri Pousseur - Scambi (1957) 近年の器楽曲の中には、解釈者に許された演奏上の特殊な自立性によって特徴づけられる作品がいくつか認められる。そこでは、解釈者は、伝統的音楽の場合のように、作曲者の指示を自己の感受性に応じて自由に解釈できるのみな…
コウノトリをからかわなかった子に、赤ちゃんをつれていってやりましょう。その子たちはいい子だったからね。」 「じゃ、まっ先にうたいはじめた、あの悪い、いじわるの子は?」と、若いコウノトリたちは言いました。 「僕たち、あの子はどうしてやりましょう…
アンヌ隊員と仮面ライダーアマゾンの中の人たちが結婚するそうである。わたしの記憶だと、タックルとバルタン星人の浮気に怒ったストロンガーが泥酔して刑務所に入る動画か番組があった気がする。 このまえ留学生からおしえてもらった『ブルーロック』という…
錫の兵隊さんは、炎にあかあかと照らされて、おそろしく熱くなったのを感じました。けれども、それが、ほんとの火のせいなのか、それとも自分の胸の中に燃えている愛のためなのか、はっきりとはわかりませんでした。美しい色も、もうすっかりはげてしまいま…
トーマス・マン研究にも知られているヴァルター・A・ベーレントゾーンの著作は、『詩人の工房における日常の客としての死』という実に嬉しいタイトルであり、 素晴らしいリストがあげてある。《一五六編の『メルヘンと物語』のうち、死に対するいかなる指摘…
ある点までは、子どもの漫画に対する主たる関心は、その内容に条件づけられるのではなく、漫画自体の表現形式や表現の実体に直接むすびついている、といえると思う。子どもは漫画の手段を自分のものにしたいのだ。つまり、〈漫画の読み方をおぼえるために漫…
中国からの留学生から、日本のいまはやりのマンガを教えて貰った。 で、次の講義では、浅田彰とひろゆきの意見の類似性について暴論を授業で展開するつもりであったが、調子に乗って、ベートーベンのやってることはほぼボカロPと同じという暴論を展開しただ…
あくる朝になって、ようやく男の子たちがやってきました。見るとヒバリが死んでいるものですから、おいおい泣きだしました。 そして、たくさんの涙を流しながら、小さいお墓を掘りました。それから、花びらでまわりを飾りました。 ヒバリのなきがらは、赤い…
所で何の研究でもさうでありますが、初めに總論のやうなものが出來ますと、それからあとの研究は段々、自然細かい所へ入り過ぎて仕舞ふ。其の細かい研究と云ふものは、研究者本人に取つては隨分相當に面白いことがあると思ひましても、一般の人が聽きますと…
私は、巡礼志願の、それから後に恋したのではないのだ。わが胸のおもい、消したくて、消したくて、巡礼思いついたにすぎないのです。私の欲していたもの、全世界ではなかった。百年の名声でもなかった。タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、チサの葉いちまい…
僕の家のすぐそばに巨きな廃工場があって、そこは戦時中日本の軍需物資を作っていたゴム工場で、僕たちは張りめぐらされたバラ線をくぐり抜けては、まさに宝庫というしかない工場に立ち入った。 防毒マスクの部品をはじめ、得体のしれない数々の小さな金具が…
「人生を真面目に考へる」といふ言葉は、畢竟するに「暗い闇夜」の重語命題ではないか。願くはただ「真面目」だけに止めよ。でなければ「考へる」だけに。我々の生活をして、まありに暗黒に、暗黒に、闇を深くする勿れ。 ――萩原朔太郎「新らしき欲情」 そう…
「なんにも着ていらっしゃらないって、小さな子供が言ってるとさ。なんにも着ていらっしゃらないって。」 「なんにも着ていらっしゃらない!」とうとうしまいに、ひとり残らずこう叫びました。これには皇帝もお困りになりました。なぜなら、みんなの言うこと…
女性をテーマに男が書いた詩の数々を眺めてみればよい。 女性とはまるで……男が創りあげた詩の世界だけに生を享けた住人のようだ。彼女たちは大抵の場合、美貌の持ち主で、その美しさや若さの翳りに怯えて身を震わせる......。 あるいは、その美しさをたたえ…
昔の悪口には面白いのがずいぶんある。 今は恐妻家、女天下というが、昔は「からすの昆布巻」(かかあまかれだ) 「ずいぶん歩いたがまだよほど遠方なのかね」 「なーに、台屋のお鉢だ」(じき底、すぐ底) 吉原の料理屋からとる飯櫃は上げ底になっていた。…
「それに、人間の一生は、かえって、わたしたちの一生よりも短いんだよ。わたしたちは、三百年も生きていられるね。けれども、死んでしまえば、わたしたちはあわになって、海の面に浮いて出てしまうから、海の底のなつかしい人たちのところで、お墓を作って…
ヤコブ・ブルクハルトさえ、「歴史は幸福のためでなくて、悲劇と涙のために存在する」と言わねばならなかったのです。正義をかかげるだけの勇気も力もなく、使命をも持たぬまやかしの者を、いつも人は正義であるとはき違えてきたからです。 ――芳賀壇「何んの…
しかし、その瞬間、お姫さまは、それを遠くの波間に投げすてました。すると、ナイフの落ちたところが、まっかに光って、まるで血のしたたりが、水の中からふき出たように見えました。お姫さまは、なかばかすんできた目を開いて、もう一度王子を見つめました…
彼はこう云ってそれを披いた。きぬの膝から肩へかけて、絶えず細かい戦慄がはしる。浅い急速な呼吸のために、胸がはげしく波をうつ、そして庭の椿のあたりでは、けたたましい猫の叫びが続いていた。 「私はもう止めない」主馬は読み終ったものを巻きながら云…
「それは、やめなさい。」と王様はおっしゃいました。 「おまえもほかのものたちと同じように、ひどい目にあうにきまっている。いま、おまえに見てもらいたいものがある。」こう言って王様は、ヨハンネスをお姫様のお庭へ案内しました。ああ、なんという恐ろ…
いつなんどきでも、人々のうしろにつきまとっているのです。劇場の大きなシャンデリアの中にすわりこんで、あかあかと燃えていることもあります。人々は当たりまえのランプだと思っているのですが、あとになって、それが思い違いだったことに気がつくのです…
「かわいいじゃん、かわいいじゃん。コガネムシには見えないけれど、かわいいじゃん。」と、コガネムシは言いました。 しばらくすると、木にいるコガネムシがみんなやってきました。しかし、いっせいに触角をぴくっと立てて、口々にこう言いました。 「この…
欧米語に対する社会一般の軽薄な好奇心を統制して大和言葉ないしは東洋語の尊重を自覚させるにはどうしたらいいか。その基礎がひろく日本精神の鼓吹にあることはいうまでもない。基礎さえ出来れば外来語はおのずから影をうすくするであろう。基礎が出来なく…
国語国文学研究室にようこそ
とうとうイーダは、そっと小さいベッドからぬけ出て、静かにドアのところへ行って、部屋の中をのぞきました。まあ!イーダの見たのは、なんという面白い光景だったでしょう! その部屋には、寝室ランプは一つもありませんでした。それなのに、たいへん明るく…
「そうね。どうせわかることです。」と、お年寄りのお妃はお考えになりました。けれども、そのことはなにもおっしゃらずに、寝室におはいりになりました。そして、ふとんをみんなとりのけて、ベッドの上に、一粒のエンドウ豆をおきました。それから、敷きぶ…
「おめえの殺したのは、おらじゃなくて、おらのばあさんだったんだ。」と小クラウスは言いました。 「そのばあさんを売って、大枡にいっぺえのお金をもらったのよ。」 「なるほど、そいつはほんとに、いいもうけをしたな。」と大クラウスは言いました。そし…